バタイユは昨晩も庭に現れた。
バタイユは、8才の茶トラの雄猫である。誰の所有でもない、
誰のものにもならない自由な猫である。顔の横幅がひろい。
昨晩は、センサーライトに反応した時間は21時頃、バタイユが庭に現れた。
私は、急いで駆け寄り、例のごとく体を撫でる。昨晩は、左足を痛めていた。
可哀そうなバタイユ。この痛みをともに分かち合って辛さを半減させてやりたいと思う。
静かに優しく左足を撫でる。体をくねらせこちらを見ている。このバタイユに対する愛おしさはどこ
から来るのか。今まで、数多の愛猫をかわいがってきた。しかし、このバタイユに対する想い
は全く違うのだ。なぜ、このように愛しいのか。
バタイユには、家族がいないのも、恋人がたくさんいるのも知っているよ。
それでも、私のところに来ておくれ、そしたら、優しく撫でるから。
バタイユ、社会には搾取される側と搾取する側がある。君は、日々命の危険をおかしていきている。
だから、社会に消費されないで、自分の体をちゃんと守っておくれよ。
バタイユ、いつものとおり私の目の前に現れておくれ。
いつまでも愛しいよ。