まだ、スカートにローファーにソックス、ゆるやかなパーマネントのころの私。
その当時は、研究所で事務をしていた。住んでいるアパートの
近くのコンビニに1日おきくらいに通勤前に買い物をしていた。今は、そのコンビニは大きくなって
遠くの地に移ってしまい存在しない。そこの店長は、男性の方で、いつもアルバイトらしき
女性の店員さんと二人で店の切り盛りをしていた。
当時、コンビニとしては珍しく売れ残りが出ると特設棚を設けて安く売ったり、ポイント制をつくったりしていた。他のコンビニでは見たことなかったので、面白い試みをされているなと思っていた。店長にどういう効果がでるのか、売れ残りが減るのか、など興味があったので、よくよくきいていた。
ある日、例のごとくコンビニに寄ったら、店長の姿がなかった。珍しいなと思い、「今日は、暑いですね」的なノリで女性の店員さんに「今日は、店長さんいらっしゃらないのですね」とお金を支払いながら言った。すると店員さんは、おつりを出しながら「店長、独身ですけど」と抑揚のない一本調子の大き目の声で言われた。
私は、おつりを受取りながら「えっ」としか返せなかった。思考が完全にとまった。
「ええ、今バックヤードにおります。」
「今日は、出張です」
「今日は、お休みです」
という回答がくると思っていたので、随分とひねった回答がきたものだと思った。
私は、店長のことが好きで、店長と会話したくて興味もない店の取り組みについてきいてくるお客という役割であることを認識した。