店にちょっと早めに来て、店の周りの雑草を抜く、蒸し暑さとアスファルトの照り返しで、熱中症になりそうになりながらやる。次に店の高い位置にある窓ふきをする。脚立に上り命がけである。やっと終わると暑さでしんどくなってきたので、バックヤードにおいてあるソファにヨロヨロと寝転んだ。
暫く目をつぶり休んでいると、妖怪ケチが出社をしてくる。そして私をみて
「あっサボっている」と呟く。私は、何も言い返さない。それが数日同じことが続く。
毎回、「あ、サボっている」という。スマートな上司ならば、草が減っていること、窓が綺麗になっていること、を気づくであろう。そして、推測する。この人はさきほどまで、掃除をやっていて、疲れて休んでいるのだと。それがわからんならばクソ上司だ。そして、自発的に物事をやる能動的社員はモチベが下がり、退職していく。何もしない、上司の前だけ働く人は評価される。そうして受け身社員だけが残り、会社はゆるやかに傾いていく。って父の会社がそうだった。小学生ながら、働く社員さん、働かない社員さんを私は知っていた。父が好きな人は、父の前だけでやる人であった。だもんね。そうなるよ。父は、人を見る目がなかった。父がひとりでがむしゃらに働いたところとて、報われるわけがなかろう。