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2024.2.28

フィクション父と母 ー解散ー

父である怜一朗と母である桔梗子は、私が24歳で独り暮らしをはじめるタイミングで

離婚をした。そのタイミングで無駄に大きな生家も処分した。

家族の解散である。私は、父の携帯番号を消し、私の携帯番号も変えた。

母は、離婚する直前に、母の貯金で父方の墓の大修繕をした。

これには母の計画があった。

母は、離婚すると母の実家にもどりひとり暮らしとなった。

父は、位牌で叩く、椅子を叩きつける、恐ろしい母から解放され、糸が切れた凧になった。

父よ、自由に楽しく生きてください。そして想い人と再婚し幸せになってください。と

心から願った。

しかし、母は、そうではなかった。

「お父さんが戻ってきても一緒になってあげない」

「お父さんがこの家に来ても入れてあげない」

などの夢を語っていた。

私は、「うん」と笑顔で頷くだけであった。「大丈夫、二度と戻ってこないから。」とは

言わなかった。

母は、その後ずっとひとりで暮らしていた。私の予測通り父とは会えずに

大病を患いひとりで生家で亡くなった。

生前、「私は、お父さんの家の墓に入りたい」と遺言を残した。

父方の厳格な親戚に許してもらうために母は、自分のお金でお墓の修繕をしたのだ。

父の兄弟、親戚筋、墓地管理者たちも認めざるをえなかった。

母は、父方の墓である白川家の墓に入った。父を墓で待ち伏せをしている状態である。

もし、父が、再婚していたら後妻さんも墓に入るのか?

という問題が残った。

丸いパイス椅子の残骸を思い出した。

私は、憂鬱になった。父の動向がわからない。

父の携帯番号を消さなければよかった…。

・・・。

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