友人Kは、私と同様に拗らせている。
Kは、お父さんを10代で亡くし、お母さんと二人暮らしであった。弟は、県外の会社に
就職し、独りで生活している。Kのお母さんが昨年なくなり、Kも私と同様にひとり
くらしになった。今年の新盆にKの家を訪ねたが、壮絶であった。お茶をいれたくれたが
飲むことができなかった。お畳の頭が擦り切れ黒いストッキンに古びたイ草がびっちり
とついた。物も乱雑においてあり、落ち着かなかった。出された茶碗も茶渋やらがこびりつき
ハイターすればいいのにと思ったが言わなかった。なにせ驚くのが、ウォールナットの台付モダン仏壇
の前にゴキブリホイホイが置いてあったことだ。部屋を見渡すと広くない居間に3~4個ホイホイが置
いてあった。「ゴキブリホイホイって、公然と置くものなのか」と尋ねたら、
Kは、面倒くさそうに「いいんだよ」と言った。いや暗い見えないところに置くものであろうと思う
が、彼女でもないし、ただの友人なので放置した。
Kは、見た目は、純粋な日本人だが、ビーンに似ている。体躯は小柄で華奢で、顔の濃さが
余計に濃縮されている感がある。私と結婚したら、間違いなく蚤の夫婦と呼ばれる感じだ。
間違ってもそんなことはないが。
都内の私立大学の法学部を卒業後に地元にもどり大手メーカーでサラリーマンをしている。
無駄遣いもせず派手な生活もせずに生きているので、しこたまお金は貯めていると思う。
貯金通帳見せれば結婚してくれる女子もいるのでは?とアドバイスしたが、金目当てか、と
濃いを顔を歪めて笑った。休みの日には、国家資格の勉強をしているらしく、机の上には新司法試験の
参考書が積んであった。猛勉強のすえに宅地建物取引士と行政書士の資格は取得している。不動産業で
開業もできそうだが、サラリーマンが喜楽でいいらしい。
お母さんが亡くなってからというもの、寂しいのか、Kは、私に動画のリンク付のメールを一日に3回
くらい送ってくるようになった。最初は、可哀そうだな…、寂しいのだな…、仕方ないな…、と思って
返していたが、だんだん腹が立ってきて、動画のメールは1日1回の返信と決めた。
お互いひとり暮らしなので、助け合うことも必要ではあるが、依存は無しだ。
Kとは、「沖で待つ」の太っちゃんと私のような関係性でいたい。