研究所事務員時代に夜は、法律系の資格学校に通っていた。
その時に友人関係になった人たちとは、今もゆるやかにつながっている。
そのなかのひとりがKである。Kは、ひとり暮らし、兄弟も一人暮らし。
両親も見送った。
家族と過ごした広い平屋の戸建てに子供部屋のおじさん世帯主となっている。
毎日、何かしらのメールをいれてくる。おそらく生存確認の意味もある。
「俺は、独居老人になる予定だ」と書いてきたので「後見人になってやる」と
返すと「真面目に冗談ぬきでお願いします」と返してきた。
いやいや、他人は、できること少ないよ。籍でも入っていればいいけど、
内縁関係でも、親友でも、恋人でも、ダメなんだろうな。
契約しなければならないかもしれないのだが、それも重い。
できることは、自宅の鍵を預かることであるが、鍵も重い。
Kの家の鍵を預かるなんて重すぎる。メールが途絶えて、自宅を訪ねたら…。
第一発見者にはなりたくない。
2度ほど経験がある。冷たくなった人を発見したことが。
1回目は、父方のばあちゃん。
2回目は、母。
あの触った冷たさは、形容しがたい。
無機質な物のほうが、まだ、温かさがある。
人の人生の終わりのほうにかかわるっていうのは、どこを切り取っても
重いことだと思う。